Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2005年 05月 03日
「今のはお前が悪いんだろ。俺に任せておけばうまくやれたのに。」
「なに言ってんのよ。マサトがもたもたやってるから、私が止めを刺してあげたんでしょ。」 またか、という表情で仲間達はその言い争いを見守る。先程の戦闘の事について、 マサトとグラスアイがもめていた。オークの止めの刺し方で躊躇して、ずるずると無駄な 時間をかけてしまったのがお互いに気に入らないらしい。二人がこうなってしまうと、もはや 時間だけがその状態を修復しうる唯一の手段だと思えた。 仲間達も気にすることも無く、それぞれ武器をしまったり身支度を調えている。 「わからない奴だな。一度ギャフンと言わせてやろうか。」 「なによ、やるっての?」 二人は武器に手をかけた。これはいくらなんでも度が過ぎている。普段仲裁に入る ガンビーノとマクシィが中に割って入れないでいると、後ろから魔法詠唱の言葉が聞こえて きた。 「少し眠ってなさい。スリプル!」 「しばらく黙っててね。サイレス!」 次の瞬間、マサトの顔の周りに雲のようなものが発生したかと思うと、マサトはその場に 倒れこんで眠ってしまった。また、グラスアイは沈黙の魔法を受けて、声が出ずに口を パクパクさせている。 マサトが起きるまで、一時移動を中断してそこで休憩を取ることにした。グラスアイは、 バツが悪そうな顔をして、少し離れたところで座っている。残りの4人は、二人の様子を見て ふうっとため息をついた。 その後も何度か戦闘をしたが時間がかかってしまい、ジュノにはあまり近づくことができな かった。太陽も傾いてきていたので、6人は近くの古墳の入り口で野営をすることにした。 食事の時間も、二人は黙ったまま目を合わそうともしない。クーニャンが場を盛り上げ ようと、自分の失敗談を面白おかしくしゃべっても、二人はクスリともしなかった。 眠る間の火の番は、普段は各国の組毎でやるのだが、今日はマサトとガンビーノ、 グラスアイとマクシィが番に当たることにして、クーニャンとチックリィが組むことになった。 気温がぐっと下がってきた深夜、火の番をしていたマサトとガンビーノは、ただならぬ 気配を感じて緊張していた。先程から、どうもこの部屋に何かがいる。 咄嗟にマサトが部屋の隅に焚き火の明かりを投げると、そこに浮かび上がったのは 骸骨のモンスターだった。その姿を確認して、ガンビーノは仲間に声をかけて起こす。 残りの4人も、事態を把握するのに時間はかからなかった。武器を構えると、マサトと ガンビーノは骸骨に切りかかっていった。 クーニャンとチックリィが魔法を唱えるが、一向に決定的な隙が作れないでいた。 ガンビーノは、骸骨の攻撃を受け止めるので精一杯で、マサトの攻撃は決定打を与え られず、戦闘は困難を極めた。 ガンビーノが強烈な攻撃を受けて後ろに弾き飛ばされた瞬間、隣をすばやく走っていく 一つの影があった。 格闘武器に持ち替えたグラスアイは骸骨の後ろへ回り込むと、マサトに気が散っている 隙をついて骸骨に打撃を与えていった。不意の後ろからの攻撃に骸骨が怯んだ隙に、 マサトは脳天から斧を振り落とした。 一瞬にして勝負は決していた。武器を収め、お互いに軽く目を合わせた二人は、少し 微笑んでいた。 「まあ、これくらいはどうってことないな。」 「何度もこんな場面に出くわしているから、慣れちゃってるのよね。」 あっけに取られている4人を尻目に、再び寝る準備をするマサトとグラスアイ。火の番の 組み合わせを元に戻して、その夜は過ごすことになった。丸一日二人に振り回された 4人は、次の日も疲れが残っていた。
by gamvieno
| 2005-05-03 23:00
| 小説 『Freaks戦記』
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