Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2006年 03月 02日
サーチャーは背中に生えた翼で宙を飛び回り、こちらの攻撃を交わしながら手足の
鋭い爪で攻撃をしてくる。捉え所がない敵の動きに、前衛に出ているエクシードは 戸惑っていた。だが、これまで幾度もの死線を掻い潜ってきた彼に対して、さしもの サーチャーも有効な攻撃を与えられないでいる。 両手鎌で攻撃を仕掛けると、交わされた次の瞬間には、サーチャーの攻撃に対して 防御できる体制が取れている。 後衛として回復補助魔法や弱体魔法を唱えているエカトニス達の様子からでは、 魔法もあまり高い効果を与えられていないようだ。どうやらこの魔物は、魔法に対して 強い耐性を持っているように見受けられた。 しばらく様子を見ていたコマは、少し離れた場所からボウガンを構えている。 サーチャーが空中に留まった一瞬の隙を狙って矢を放つ。が、大きな目玉はそれを 容易に捉え、ヒラリと身を交わした。サーチャーはこちらに狩人がいることを知ると、 空中で何らかの魔法を詠唱した。その隙を突いて再びコマが矢を放ったが、今度は 避けようとしない。捕らえたか?と思われた次の瞬間、その矢はサーチャーに届く前に 勢いを失って、地上へとまっさかさまに落ちていった。先ほど唱えた魔法は、弓矢に 対するバリアを体の周囲に展開するものだったようだ。彼女もまた、空中の標的に 対して有効打を与えられなくなってしまった。 エクシードが攻撃を巧みに鎌で受けているのを見て、ファイナは彼女の肩に止まって いたナナヤに言った。 「行くわよ、ナナヤ!」 甲高い声を発すると、小さな羽根を力強く羽ばたかせて、ナナヤはサーチャー めがけて飛んでいった。そのすぐ後から、槍を確かめるように回転させて、ファイナも 走り出した。 エクシードは気配を察知して、受け止めていた爪を前へはじくと後方へ飛び退いた。 そのすぐ脇をすり抜けて、ファイナが槍を勢いよく突き立てた。 虚を突かれてバランスを崩しかけたサーチャーに、ナナヤが空中から襲い掛かった。 けたたましい声を上げて襲い掛かるナナヤに気を取られたサーチャーに対して、 エクシードは両手鎌を水平になぎ払った。 空中に飛び散るどす黒い血。エクシードの攻撃は、サーチャーの左足を捉えていた。 「ギャアー!」 ナナヤとは違う獣の声が周囲に響く。大きな目をしばたたかせて痛みを堪えている サーチャーに、ファイナ達は連携して攻撃を畳み掛けて行った。精神集中が解けた らしく、コマの弓矢がサーチャーの脇腹に刺さった。次々と傷ついていくサーチャーに、 仲間達はさらに攻撃を続けていく。このまま押し切れる、そう全員が確信したその時、 大きな目が一段と大きく開かれるや否や、不気味な光を放ちファイナ達に浴びせられた。 目から入った光が頭の奥に跳ね返る瞬間、ファイナは急に瞼が重く感じられて そのまま力を失っていった。 ファイナ達が次々と倒れるのに驚いて、駆け寄るコマとエカトニス達。それとは逆に、 空中へと離れていくサーチャーは、襲ってくる傷の痛みに顔をしかめ、自らの血で 汚れた体に激昂した。 「ぐ、が・・・バ、バカな。たかが人間如きに、このオレが・・・。」 怒りに震えながら広場を見下ろす。催眠術が解かれ、目を覚ましていくファイナたちに 向かって叫ぶ。 「オレをここまで追い込んだ事は褒めてやろう。だが、お前達の命運もこれで 終わりだ!」 サーチャーは両手を前へ突き出して、魔法の詠唱を始めた。紫色の空が急に黒い 雲に覆われると、その雲がサーチャーの前に渦巻き、大きな竜巻となった。眠りから 覚めたファイナたちは、その竜巻の中心から強い力を受けて周囲にはじかれた。 立ち上がったファイナは、広場の中心で不気味に刻まれている魔方陣を見た。 「我が声に応えよ、邪竜!我が敵は汝が敵なり、我が剣となりて眼前の敵を打ち 砕けぃ!」 サーチャーの詠唱に呼応して、魔方陣が一段と輝いたかと思った次の瞬間、地面 から大きな物体がゆっくりと浮かび上がってきた。徐々に露になるその姿に、ナナヤは 怯みファイナの後へ逃げるように後退した。
by Gamvieno
| 2006-03-02 08:49
| 小説 『Freaks戦記Ⅱ』
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