Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2005年 04月 28日
「おーい、クーニャン。こっちの張り紙はどうかな?」
ガンビーノが少し離れた所から呼んでいる。彼にとっては5、6歩で移動できる距離なの だろうが、タルタルのクーニャンにとってみれば、それは結構な距離である。おまけに 掲示板の前は、冒険者達が密集していてただでさえ動きづらい。クーニャンは人の足の 間を掻い潜って声の方向へと進んで行ったが、不意に目の前に現れた足に顔面から ぶつかり、その弾みでその足にしがみつくような格好になった。 当たった鼻の当たりを手で押さえてさすっていると、その足の主が視線を落として声を かけてきた。 「大丈夫?ごめんなさい、気付かなくって。痛かった?」 それは、動き易そうな装備のシーフらしきヒュームの女性だった。はっと気がついて、 彼女の足から手を離すと、クーニャンは恥ずかしそうに顔を赤らめてお辞儀をした。 「こちらこそごめんなさい。仲間に呼ばれたので急いでたんです。」 クーニャンがすぐ来ないのを不思議に思って、ガンビーノが近くまで寄ってきた。3人は 人ごみを避けて、掲示板とは少し離れた場所に移動した。話を聞くと、その女性も 冒険者を探しているとの事だった。 セルビナはジュノへ向かう冒険者の中継地点であり、サンド・バスとウィンを結ぶ 貿易港があるため物流の要衝でもある。一緒の目的を持った冒険者を探したり、 冒険者相手に路上でバザーを開いて商売をする人々も多く見かける。砂丘の中にある 小さな町は、人の行き来が絶えない活気のある町となっている。 冒険者達が情報を共有するのが、町のメインストリートに設置されている大きな 掲示板だ。そこには目的別に張り紙が貼られるようになっていて、冒険者募集やバザー などの情報が所狭しと書かれていた。 冒険者にはここをはじめて訪れた者が大半であり、この掲示板を利用して行動する 必要がある。 「私、グラスアイっていうの。あなた、見たところ魔法使いみたいだけど、どう?私達と ジュノヘ行かない?もちろん、彼も一緒にね。」 ガンビーノの方を見ると、いいよと頷いていた。改めてグラスアイを見て、クーニャンは 会釈をした 「僕はクーニャンといいます。こっちはガンビーノさん。僕達、まだ駆け出しの冒険者 だけど、よろしくお願いします。」 「ついて来て。私の相方を紹介するわ。ちょっと気分屋だけど、根はいい奴だから。」 くすっと笑う表情が、まだあどけなさを残していた。その明るい性格に、クーニャンは 少し安心した。 丘の上に張り出している建物の影で、その相方は日差しを避けていた。崖に背をもたれ かけて、方膝を立てて座っていた。グラスアイが人を連れてきたのを見つけると、さっと 立ち上がって会釈をした。 「はじめまして。俺はマサトと言います。よろしく。」 マサトは、同じ矢面に立つであろうガンビーノと硬い握手をした。役割は同じ様なのに、 雰囲気が全く違う二人を見比べて、クーニャンは仲間たちが増えたことによる斬新さと 変化に、少し興奮気味だった。 敵に直接対峙して戦うのはガンビーノとマサト、それにグラスアイで足りているが、後衛と いうべき者がクーニャン一人では多少心許ないということで、4人はさらに冒険者を探す ことにした。 代表してグラスアイが掲示板を見に行き、その張り紙の中から詩人と魔法使いの 張り紙を見つけてきた。 「この人たちでどうかな?セルビナの酒場で待ってます、だって。いってみよう。」 すっかりグラスアイのペースだが、みんなまんざらでもない様だった。クーニャンも、 楽しそうに進む彼女の姿をみると、自然とスキップするかのようにその側を歩いていた。 程なくして、4人は港に程近い酒場へ到着した。グラスアイは勢いよくその扉を開けて 入っていった。
by gamvieno
| 2005-04-28 12:25
| 小説 『Freaks戦記』
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