Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2005年 09月 01日
「コマさんの部屋はこちらですか?」
戦士のような装備を身にまとったエルヴァーンの女性が尋ねてきたのは、クフィム島から 戻った5日後のことだった。 対応に出たファイナがいぶかしげな表情で相手を観察していると、コマが後ろから やってきた。 「コマはあたしだけど、何かようかにゃ?」 屈託のない笑顔を見せるコマに、その女性は微笑み、ファイナは慎重に対応した自分が 馬鹿馬鹿しくなった。 「コマさんのおばあさまのミーティア様から、手紙を預かってます。まずは、こちらをご覧 ください。」 手紙は、羊の皮の円筒状の入れ物に入っていて、その蓋の部分にはミーティアと署名が 入った印がある。 『 コマへ。久しぶりですね。ファイナさんやエカトニスさん達に迷惑をかけていませんか? コマはいつも元気だし、みんなが助けてくれるから心配要らないわね。でもやりすぎは ダメ。じっくり考える事も大事ですよ? 突然の手紙に驚いているかもしれませんが、とても大切な事なので急いで筆を取り ました。今、ウィンダスの西にあるヤグード達の基地の方角から、とても邪悪な気配が 発せられていると、魔道士達が言っているの。 このまま放っておくと大変な事になりそうなのだけれど、ウィンダスの軍隊が動くわけ にはいかない状況で、冒険者を雇って調査をしてもらうことになりました。 そこで、あなた達にその調査をお願いしたいと思って手紙を書きました。ウィンダスを 出発して、いろいろな苦しい戦いを切り抜けてきたコマ達なら、きっとやり遂げることが できると信じています。この手紙の内容をみんなによく説明して、一緒に来てもらうように お願いしてみてください。わからない事があったら、この手紙を持って行ってもらった、 シャンティさんに尋ねてください。 厳しい戦いになるかもしれません。十分に準備をして、きっと無事に帰って来てください。』 手紙を読み終えて、その内容の重大さに不安を覚えながらも、懐かしい文字を見て喜んで いた。 ウィン出身の4人は快諾したが、バスから来ているニースとエクシードが承諾するのかが 気がかりだった。 「俺は特に予定があるわけじゃないから、行ってもいい。」 「エクさんが行くなら、私が行かないわけには行かないでしょう?」 と、ニースはエクシードの方に視線を送ったが、エクシードはいつもの表情を崩さな かった。コマとエカトニスがそのやり取りを見て、ニヤニヤしながらひそひそ話をしている。 エクシードの側に立っていたワシプが、肘でエクシードをつついたが、何のことかわからず エクシードはワシプを少し厳しい目付きで睨み返した。 クフィムで多少懐が暖かくなっているし、あらかた新しい装備に買い換えた後だったので、 出発の準備はそれほど時間がかからなかった。道中の食料を買い込み、6人+シャンティ の7人でジュノを出発する。 ウィンダスからジュノまでの順路は、安全だが時間がかかるので、一行はチョコボで移動 することにした。 チョコボでの移動はお金がかかるものの、歩いて移動するよりも早く、安全に移動すること が出来る。獣人に見つかっても、チョコボのすばやい動きとその脚力で、大概逃げ延びる ことが出来る。 ジュノへ到着した上層とは異なる、ジュノの最下層である港から出発することになった。 港をでると、そこは赤茶けた大地が広がり、乾いた風に乗って飛んできた細かい砂が、 目や口に入って煩わしく感じた。適当な布を顔に巻きつけて、飛んでくる砂を避けながら、 7匹のチョコボは進んでいく。 ソロムグ原野と呼ばれるここは、20年前の人間と獣人との大戦が激しかった土地だ。 所々にある要塞跡の崩れ具合が、その熾烈な戦闘を物語っていた。めったに冒険者が 訪れない場所で、魔物が多く生息する。 エカトニスがなれない騎乗で戸惑っていると、ワシプが併走してチョコボの扱い方のコツを 教えている。 新たな目的地へ向かう7匹のチョコボが立てた砂埃が、ひとつの大きな砂埃となって立ち 上っていた。
by gamvieno
| 2005-09-01 12:29
| 小説 『Freaks戦記Ⅱ』
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