Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2005年 08月 11日
ウィンダスの西方、獣人ヤグード族の拠点ギデアスは、小高い山を切り崩して作られて
いる。退化した翼が物語るとおり、彼らは元々大空を滑空していた。彼らの空へ対する 執着は、彼らの信仰や生活様式にも現れていて、大気を流れる風を利用したオブジェや 風穴などが、住居や構造物に数多く見られる。 ギデアスの奥には、彼らが神聖な場所として儀式などで使うのであろう、バルガの舞台と 呼ばれる一角がある。そこには、特別な結界が施されており、彼ら自身もその結界を通って その奥へ行くことは簡単ではない。 その結界の先、闇の波動が渦巻く広場で、その塊は長い時を経て今まさに動き出そうと していた。 何かの気配を感じ取ったのか、その小さな瞳は突然に開かれた。体がすでに癒えている のを確認するように、2度3度と翼を羽ばたく。ねぐらである小さな小屋の中で、甲高くも 力強く吼えるや否や、それを合図とばかりに勢いよく飛び立って行った。その声を聞いた ミスラが小屋に近づいて空を見上げると、主の元へ飛び立っていく小さな翼が、太陽の光を 浴びて輝いていた。がんばれ、そういいながらミスラは手を振り見送った。 谷の間を走りながら、振り向きざまに回復魔法をかけるニースとワシプ。先に走っていた エカトニスは、息を整えてから魔法で攻撃するが、精神的な疲労が激しく致命傷を与えられ ないでいる。今戦っている巨人の後ろには、さらにもう一匹の巨人が続いていた。敵の 攻撃をかわしながら、後ずさりして攻撃をするエクシードとファイナを、少し離れたところから コマが弓矢で援護する。襲い掛かってきた巨人が2匹のみであることを確認して、パーティ はその場で迎え撃つことにした。普段の状態であれば、巨人2匹など、どうというとこはない のだが、先刻の戦闘ですでに疲弊したところで、彼らに見つかってしまったのがいけない。 ファイナの槍が巨人のわき腹を捕らえた瞬間、巨人に一瞬の隙ができた。それをコマは 見逃さずに、その右目めがけて矢を放った。見事にその矢は右目を捕らえ、うめき声を 上げているその首を、エクシードは両手鎌ではねていた。大量の血しぶきを吹き上げ ながら、巨人は大きな肉塊となってその場に崩れ落ちた。 息つく間もなく、後ろからこちらを伺っていたもう一匹の巨人が襲い掛かる。エクシードは 不意をつかれ、巨人の攻撃をまともに受けて、左の岩壁に叩きつけられてしまった。抱き 起こそうと近寄ったコマに、巨人は再び攻撃を加えようとしていた。そこへファイナが槍を 構えて突進していく。 前衛の要であるエクシードを欠き、ファイナ達は全滅の憂き目に会っていた。魔道士達は 精神的に限界に近い様子で、みんな肩で息をしている。巨人の攻撃を槍で受け止めたり、 交わしたりはできているが、コマや魔道士たちの撹乱があったればこそできるものであり、 気を抜くとエクシードと同じように飛ばされてしまう。ましてや、鎧として身に着けているのは 動きやすさを追求しているもので、防御力など巨人の攻撃の前には、まったく役に立たない だろう。槍を持つ手が痺れて来て、握力がほとんど出ない。 巨人が左手を突き出した攻撃をファイナは槍で受け止めたが、踏ん張った際に地面の 小石に右足を取られ、ファイナはその場に倒れこんでしまった。それを見た巨人が、両手を 組んでファイナの頭上へ高く構えた。 ドカッ。自分が攻撃を受けた音ではない事を確認して、閉じてしまった目を開けると、 巨人の注意は空へ向けられていた。ファイナも立ち上がりその方角を見ると、見覚えのある 小さな翼が巨人の頭上を旋回していた。 「ナナヤ!治ったのね。」 ファイナの声を聞き、ナナヤと呼ばれた小さな竜は小さく咆哮し、再び巨人に攻撃を開始 した。その隙に、エクシード達は体制を整えて攻撃できるようになった。ファイナが少し 離れた位置まで後退したのを見て、ナナヤがファイナの前に低空で滑り込んできた。 ファイナは助走をつけナナヤの背中を踏み一気にジャンプをすると、巨人の脳天めがけて 槍を振り下ろした。全体重をかけた一撃は巨人の頭を貫き、その命を奪った。 ファイナはナナヤに駆け寄り、その小さな竜を強く抱きしめながら、おかえり、と声を かけた。
by gamvieno
| 2005-08-11 08:43
| 小説 『Freaks戦記Ⅱ』
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