Gamvieno( ゜八゜)ノBlog
ヴァナ・ディールを仄かに暖める、髭が魅力のガンビーノが綴る物語・・・
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2005年 07月 28日
光の神アルタナに仕え、その恩恵を借りて回復魔法や強化魔法を唱える魔道士。彼らを
白魔道士と呼ぶ。 仲間が傷ついた時には自然治癒力を高めて回復を促し、敵の魔法や毒攻撃などの 特殊な攻撃によって仲間が状態異常に陥ったときには、その魔法を打ち消したり毒を取り 除く魔法を唱える。また、敵に対しても魔法を唱えて麻痺させたり、動きを鈍らせる事も 出来る。 白魔道士とは、常に仲間の状態を把握して回復・強化を行う、パーティにとって必要 不可欠な存在である。 まさに仲間の命を預かっているともいえる役割に、ニースも白魔道士としての誇りを 感じている。 クフィム島での狩りは、ジュノから続く洞窟の出口付近に出没するミミズが主な相手だ。 といっても、田畑に住み着いて土壌の養分を吸い取って生きているそれとは全く異なり、 この世の闇の影響を受けて魔物化した巨大なミミズだ。その大きさは、大人のヒュームの 太もも程の太さで、地面から出た部分だけで1mを超える。 ミミズと対戦するのは全員初めてではなかったが、この地方の敵は闇の影響を強く 受けているらしく、今まで戦ってきた相手と思って高をくくっていると、その強さに圧倒され 全滅の憂き目に遭う事になるだろう。 攻撃の強さと頑丈さ、強力な範囲魔法と特殊攻撃。敵によって攻撃方法や魔法が異なる ため、その状況によって対応を変えてきたニースだったが、ミミズの強さに対応が遅れて 仲間が危機に陥る事も多かった。 しかしどんなに魔法を唱えて精神的に疲労しても、ニースは白魔道士がいやになった ことは一度もなかった。 親元を離れて、祖母のニースの医院の助手をしていた頃から、すでにその素養は祖母が 太鼓判を押すほどで、魔法の習得もさほど時間がかからずに覚えられ、治療に使う薬品の 調合にさえ抜群の才能を見せていた。 そうした自分の能力を十分に生かせる白魔道士になることは、ニースには当然とも自然 とも言える事だった。 そんな最中に訪れたエクシードとの出会いは、彼女を白魔道士として飛躍させる冒険の きっかけとなる。 エクシードが獣人達に瀕死の重傷を負わされ、祖母の医院へ担ぎ込まれたとき、祖母と 二人で懸命な治療を施してやっと一命を取り留めた。そんな無鉄砲な戦闘を繰り返して きたであろうエクシードを見て、ニースはその原因はなんだろうと考えていた。この人は、 なぜこんな戦い方をするのだろう。体力が回復してここを出て行っても、また同じ行動を 繰り返して今度は命を落とすかもしれない。自分が治療をしていくことで、彼の心を垣間 見ることができ、そして少しでも彼の心を救えられれば、それはこの上ない喜びとして ニースも感じられるのではないか。そういう感情がわいたときには、もう祖母に彼と共に 出発する意志を祖母に告げていた。 バスを出発したての頃は、やはり無茶な戦闘を繰り返していたエクシードだったが、 懸命に回復魔法を唱えるニースを思ってか、だんだんと突飛な行動を控えるようになった。 そんな彼の変化が、ニースには嬉しかった。祖母の医院へ来る患者を治療するのとまた 別の新鮮な感覚を、彼と行動を共にすることで感じていった。 表層的な傷の回復は出来ても、その人物の心の回復はなかなか出来ないことは、 ニースも数々の患者を相手にして来てわかっているつもりだった。エクシードは、彼女が いくら心を開かせようと話しかけても、まるで感情を表に出さない。その心に刻まれた深い 傷は、そう容易く癒せないものなのだとニースは痛感した。 日が暮れて気温が一段と下がってきたので、ニース達は今日の狩りを終えて休息をとる ことにした。 他の冒険者たちも、ジュノへの洞窟の奥へ入ってはそれぞれ焚き火で暖をとっている。 ニースがウィン組の4人と今日の出来事を楽しく話しているときにも、エクシードは一人 離れた位置で焚き火を見つめている。 戦闘中に必要なことは、最低限の指示をすることがあるのだが、こういった場面では 極端に話すのを嫌う。 エクシードのこうした性分に慣れたニースに対し、他の仲間達は彼のそんな様子に 違和感を感じているようだった。彼らの陽気な雰囲気が、一層エクシードの暗い闇の部分を 浮き彫りにするようで、ニースは自分の人を助けることに対する信念が実を結び、彼に 対してもより顕著に現れることをいつも夢見るのであった。
by gamvieno
| 2005-07-28 08:16
| 小説 『Freaks戦記Ⅱ』
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